2020/12/07 父の回顧録

私の実父である弘のさらに父(祖父)は吉田出身。元々は大石という姓で婿養子に入った。母は生まれつき右目を失明していたため、結婚してくれた父に感謝していた。父は県庁の職員として予算を監査していた。キャデラックとアメ車を乗り回していた。大石家は御家人の長であったが、時の潮流で武士としての身分を奪われた際に牧の原に茶を植え生産するよう指示し皆の食い扶持を作った先進的な家柄でもあった。

父の母(祖母)はとても強い人間で、ある時知人の家で精米機を借りていたところ、持ち運びの容器が回転に巻き込まれ、人差し指?の第一関節が潰れてしまった。大変な悲鳴をあげ、精米機の持ち主が急いで自転車の後ろに乗せ、大病院まで運んだ。母は「くっついた」と言ったが手術で切断され無くなった。持病で失明していたことも感じたことはなかった。一度だけ味噌汁を父に手渡ししようとして誤り、ひっくり返してしまった。父は「なんたるザマだ!」と激昂したが、弘は、目が見えないんだからそこまで言うことはないじゃないかと子供ながらに抵抗を感じていた。目が見えないことを母はコンプレックスに感じていたのだろうと思う。学校の行事に来たことはなかったと思っていたが、一度、リレーの選手になったと言ったら、その瞬間だけ現れてすぐ帰ったらしい。

 

つづく